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【この記事の結論】
- 60代からの新NISAは遅くない。非課税保有期間は無期限化されており、始めるタイミングに締切はない
- ただし20〜50代とは目的が違う。「大きく増やす」より「取り崩しながら、目減りを抑える」フェーズに近い
- 生涯投資枠1,800万円を無理に埋める必要はない。年齢が上がるほど、枠を使い切ることより資産配分の見直しの方が大切になる
投資・お金の勉強をどこから始めるか迷っている方はこちら →投資初心者ロードマップ|マネー塾でまず読むべき記事
「60代から新NISAを始めても遅いのでは」という声をよく聞きます。たしかに20代から始める人と比べれば、運用に使える時間は短くなります。ただ、新NISAの非課税保有期間は無期限化されているため、始めるタイミングに締切はありません。この記事では、60代の貯蓄額の実態データをもとに、20〜50代とは違う60代ならではのNISAとの付き合い方を整理します。
mochi
20代から50代までの記事では「早く始めるほど有利」と伝えてきたけど、60代はちょっと違う考え方が必要なんだよね。同じNISAでも、フェーズが変わるとやることも変わる。
この記事を読めば、60代の貯蓄額の実態と、この年代に合ったNISAとの付き合い方が分かり、「今さら遅いかも」という不安を具体的な考え方に変えられます。
60代の貯蓄額はいくら?平均と中央値の実態
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯・60歳代の金融資産保有額は、平均2,683万円、中央値1,400万円です。平均と中央値の差はおよそ1.9倍あり、一部の資産が多い世帯が平均を押し上げていることが分かります。金融資産を保有していない世帯も12.8%(およそ8世帯に1世帯)あり、「みんな潤沢」というわけではないのが実態です。
平均額だけを見て「自分は少ない」と焦る必要はありません。世帯によって退職金の有無や年金の見込み額、住宅ローンの有無が大きく異なるため、大切なのは平均値ではなく「自分の場合はどうか」を考えることです。
20〜50代と60代で、NISAとの付き合い方はここが違う
これまでのシリーズ(50代編まで)では、一貫して「早く始めて長く運用するほど有利」という考え方を伝えてきました。60代でもこの原則自体は変わりませんが、運用に使える期間そのものが短くなる分、いくつか前提が変わってきます。
- 目的が「増やす」から「守りながら使う」に近づく:数十年かけて資産を育てる若い世代と違い、60代は数年後には取り崩しが始まる、あるいはすでに始まっている人も多い時期です
- 下落からの回復を待つ余裕が少ない:暴落しても「待てばいつか戻る」と割り切れる時間の余白が、若い世代より小さくなります
- 生涯投資枠1,800万円を無理に埋める必要はない:枠を使い切ることが目的化すると、必要以上にリスクを取ってしまうことがあります
つまり60代のNISAは、「いくら増やせるか」より「これまで育ててきた資産をどう守りながら、必要な分だけ引き出していくか」という、出口を見据えた考え方が中心になります。
60代からの新NISA、考え方の3ステップ
①いつ・いくら取り崩すかを先に決める
60代は「いつまでにいくら貯めるか」より「いつから、月いくら取り崩すか」を考える時期です。公的年金でまかなえない生活費の不足分を把握し、その範囲でNISA資産をどう取り崩していくかを先に決めておくと、下落局面でも慌てずに済みます。取り崩しの考え方は出口戦略の記事(4%ルール)で詳しく解説しています。
②資産配分を「守り」寄りに調整する
20〜40代であれば株式中心の配分でも時間が解決してくれますが、60代は下落と取り崩しのタイミングが重なるリスクを避けたいところです。すべてを株式に置くのではなく、数年分の生活費は値動きの少ない資産に置いておく、という考え方が現実的です。オルカンのような世界分散の商品を軸にしつつ、取り崩す時期が近い分だけ現金や預貯金に移していく、という設計が一つの形です。
③生涯投資枠は「使い切る」より「必要な分だけ」
20〜30代の記事では「早めに枠を使い切る」ことを勧めてきましたが、60代はこの原則をそのまま当てはめる必要はありません。60代から始める場合、1,800万円の枠を無理に埋めようとして、必要以上にリスクの高い配分にしてしまうと本末転倒です。老後に必要な金額を先に見積もり、その範囲で枠を使うくらいで十分です。必要額の目安は老後資金シミュレーターの記事で計算できます。
mochi
「枠を全部使わないともったいない」という考え方は、20〜30代なら合ってると思う。でも60代なら、必要な分だけでちゃんと十分。無理に合わせなくて大丈夫だよ。
よくある質問
Q. 退職金をまとめてNISAに入れるのは危険ですか?
一括で全額を投資に回すのはおすすめしません。数年以内に使う予定のあるお金は現金で確保したうえで、残りの余裕資金の範囲で、時期をずらしながら投資に回す方法が現実的です。まとまったお金を投資する際の考え方は非課税枠を使い切る記事も参考になりますが、60代は必ずしも急いで枠を埋める必要はない点にご注意ください。
Q. すでに投資信託を積み立てています。60代になったら売った方がいいですか?
一律に売却する必要はありません。今後何年その資産を使わずに置いておけるかによって判断が変わります。すぐに使う予定がなければ保有を続け、数年以内に使う予定があるなら、その分だけ値動きの少ない資産に移す、という考え方がおすすめです。
Q. 60代から始めるなら、つみたて投資枠と成長投資枠どちらを使うべきですか?
まとまった資金がある場合は、つみたて投資枠だけでは非課税枠を使い切るのに時間がかかるため、成長投資枠も併用するのが現実的です。ただし前述のとおり、枠を急いで埋める必要はないので、無理のないペースで進めて問題ありません。
まとめ:60代のNISAは「増やす」から「守りながら使う」へ
- 二人以上世帯・60歳代の金融資産保有額は平均2,683万円、中央値1,400万円(J-FLEC 2025年調査)。平均と中央値の差が大きく、世帯差も大きい
- 60代のNISAは、20〜50代のような「早く始めて増やす」から「守りながら取り崩す」へと目的が変わる
- いつ・いくら取り崩すかを先に決め、資産配分を守り寄りに調整するのが基本の流れ
- 生涯投資枠1,800万円は無理に埋める必要はない。必要な老後資金の範囲で使えば十分
- 非課税保有期間は無期限化されている。始めるタイミングに締切はない
60代から新NISAを始めることは、決して遅すぎることではありません。ただ、これまでの世代別記事で伝えてきた「早く・大きく」という考え方をそのまま当てはめるのではなく、この年代に合った「守りながら使う」という視点に切り替えることが大切です。まずは自分がいつ・いくら取り崩す予定なのかを整理するところから始めてみてください。
mochi
どの年代から始めても、非課税の制度をうまく使う工夫はできるはず。焦らず、自分のフェーズに合ったペースで付き合っていってくださいね。
この記事を書いた人
mochi|大学時代にお金・投資に興味を持ち、ポイ活やFXで挫折。結婚を機に「本気で将来のお金と向き合おう」と一念発起し、変額保険を通じて投資信託と出会う。その後ネット証券で低コストのインデックスファンドと出会い、旧NISAを活用した本格的な長期投資をスタート。現在は新NISAも活用しながら、コツコツ資産形成中。「若い頃の自分に教えてあげたかった」という思いから、初心者にもわかりやすいお金・投資の情報を発信中。
※本記事は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。



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